大正時代の二尺のいちまさん、芳松斎銘です。身内が30年位前に古い日本人形専門の店舗から入手した子で、ガラス目の作りが昭和の子と違い、ガラスの裏から彩色してあるそうです。詳しい事は良く分かりませんが、私も昔、店舗で昭和の子と並んでいたのを見た事があり、確かに目の雰囲気が昭和のいちまさんとは違う感じです。大きめの子で、身長約61センチ位です。
帯は入手した時から締めておらず、子供の扱帯(しごき)を結んであります。画像1で締めている帯は別のもので、残りの画像で締めている扱帯を締めてお送り致します。着物も元の持主が縫ったものなのか古いしぼの大きな縮緬で、両袖とも三枚重ねた一番下の襦袢の袖は、袂の途中から下の方にかけて、裏の薄絹が折り目の部分で裂けています。襦袢は一番下の木綿の半襦袢、裾と衿を紅絹にしたピンクの木綿の襦袢を着ています。良くあるいちまさんの着物の様に、袖は襦袢と別で、三枚重ねてある仕立てです。
髪の毛は人毛で非常に抜け易いです。頭を胴体に差し込む支柱が、首の縁から2センチ弱位のところで折れていて、頭が抜けます。両腕も最初に付けてあった薄い水色の縮緬は経年で破れが目立ち布が脆くなっていて継げなかったそうで、その上から別の古い縮緬で補強してあります。足は作られた当初のままの様ですが、画像5の様に左足の後ろにヒビと、踵に欠けがあります。足袋はなく元から裸足でした。
100年位は経ている子なので、経年劣化はそれなりに目立ちますが、顔は可愛いです。右目の上に小さい胡粉の剥げと小傷があります。首の縁も、裸の画像で見えますが、正面からやや右側に欠けがあります。ふいごは鳴ります。
髪が抜けるので、着物を脱がせたり着せたりも殆どしていません。撮影に一度脱がせただけの為、見落としている傷やその他、あるかも知れません。
状態に厳しい方には向かないお人形だと思います。古い子にご理解のある方、現状で可愛がって下さる方、宜しくお願い致します。